山口市教育委員会 + YCAM
共同プロジェクト
Yamaguchi City
Board of Education + YCAM
collaborative project

秋穂の360°図鑑

AIO ELEMENTARY SCHOOL - 2022

秋穂の360°図鑑について

タブレット端末を活用した 新たな「地域学習」

撮影:塩見浩介

山口市立秋穂小学校の児童たちが、自分達の住む地域の魅力を探って制作した360°ぐるっと見渡せるウェブ図鑑です。秋穂小学校の1、2年生の生活科、3年生の社会科、4、5、6年生の総合的な学習の時間の授業で、ウェブ上で閲覧可能な地域図鑑を児童たちと制作しました。秋穂の町を上空から見渡したり、フィールドワークを行ったりして情報を得ることで、自分のふるさとについて、より深く知ることができました。

自分の視点に「ピン」を立て、 「コメント」で気づきや発見を共有する

360°図鑑では、自分の気づきや発見などの「視点」にピンを立て、コメントを書き込むことができます。テキストによるコメントに加え、タブレット端末で撮影した写真や動画をクラウドストレージ経由で表示することもできます。360°図鑑はウェブ上で動作し、他の児童が書き込んだコメントがリアルタイムで反映されます。

山口市教育委員会 + YCAM 共同プロジェクト

​​YCAMは2003年の開館以来、メディア・テクノロジーを用いた 新しい表現と鑑賞者をつなぐため、研究開発プロジェクトや作品制作の過程で得たテクニックや知見、開発したソフトウェア /ハードウェアなどを応用して、教育プログラムを多数開発/ 実施してきました。2016年からはこうした取り組みを、新たな教育モデルとして持続的に展開し、世界へ発信できるよう「未来の山口の授業」という枠組みで実施しています。

2021年度は、山口市教育委員会がYCAMと推進する先進教育プロジェクト「やまぐち子ども未来型学習プロジェクト」として、「未来の山口の授業 at School 2021」を実施。文部科学省の 「GIGAスクール構想」などの影響で急速に進む教育現場のICT 化に対応した授業開発を、教員とYCAM、そして山口市の小学校でプログラミング教育の普及に貢献してきたファブラボ山口とともに取り組んでいきます。

秋穂小学校について

秋穂小学校は1873年(明治6年)に創立されました。2013年には、秋穂小の新校舎が完成し、式典も開催されました。2023年には、150周年を迎える伝統ある小学校です。

秋穂の360°図鑑ができるまで

STEP1 教員打ち合わせ 2022年6月2日実施

学校の教員との事前協議は、タブレット端末を活用した授業案の構想、及び運用方法の検討から始まりました。秋穂小学校で取り組める授業内容を踏まえて構想を練った結果、1学年から5学年が取り組む「地域学習」に焦点をあてた授業開発に決定しました。児童自身が「360°図鑑」を制作するためのソフトウェアを使用し、自分が住んでいる地域の特徴を捉えられるようになること、情報をわかりやすく発信・伝達する表現力を磨くこと、プログラミング的思考力を身につけることことなどを目的に授業を設計していきました。

撮影:山根由起子

STEP2 フィールドワーク〜うみのすてきを見つけよう〜 2022年9月20日実施

学校から徒歩15分の黒潟ビーチでフィールドワークを行いました。浜辺に生息している生き物を観察しメモに残したり、風景をタブレット端末を使って風景の写真や動画を撮影するなど、ICT機器を活用し、学習に生かしました。

下記、秋穂小学校がフィールドワークと撮影を行った場所等の紹介です。

正八幡宮(しょうはちまんぐう)

814年に創建された秋穂・二島地区の氏神様です。現在の社殿は1740年に藩主毛利宗広によって建立されたときのもので、この地区独特の建築様式がみられることから、楼門、拝殿、本殿などが重要文化財に指定されています。

黒潟ビーチ

1990年に建設された祇園町地区の「おぎおん公園」から少し下ったところにある秋穂湾の一角のことを「黒潟ビーチ」と呼んでいます。遊泳することはできませんが、水の色も綺麗で、たくさんの生き物を見つけることができます。

中道(ちゅうどう)海水浴場

夏には多くの海水浴客でにぎわい、8月には「あいおえび狩り世界選手権大会」も開催され、県内外から多くの参加者があります。

草山公園

桜1000本の桜広場や灯台広場があり、瀬戸内海の美しい眺めが一望できます。

菜の花

秋穂地域では、江戸時代から菜の花栽培(菜種油を搾るため)が盛んでした。秋穂小学校の校歌も、「なたね、なたね」で始まるほど、秋穂にとってはなじみ深い大切な花となっています。

山口型放牧

転作田や耕作放棄地などに電気柵などを設置して牛を放牧する「山口型放牧」を秋穂放牧利用組合が行っています。耕作放棄地の農地管理をするだけではなく、牛にストレスを負わせることなく飼育できたり、放牧地に人が通うことで、有害鳥獣が寄って来なくなったりと様々なプラス効果があります。

ほ場整備

県から工事を請け負った地元の土木会社の協力のもと、秋穂小学校近くの大型水路のコンクリート壁にふるさと秋穂をPRするメッセージをかきました。メッセージは、ほ場整備完成後も5、6年先まで残る見込みで、水路そばの道路から見ることができます。

撮影:塩見浩介

STEP3 360°図鑑の共創 2022年9月28日実施

フィールドワークを行った黒潟ビーチが360°画像となって、秋穂の図鑑ウェブサイトに反映されました。児童は黒潟ビーチの360°写真に、ゴミ拾いをした様子や、砂浜で見つけた生きものを観察して感じたことなどを、タイトルと文章や写真を使って投稿し、図鑑を制作しました。児童は、自分達が図鑑用に作成したメモを見ながら慎重に取り組みました。

撮影:塩見浩介

STEP4 参観日で学習発表会 2023年2月27日実施

参観日で保護者に向けて、ソフトウェアを活用した授業の学習成果の発表を行いました。図鑑を作るときに工夫したことなどをまとめたパワーポイントを制作し、電子黒板のタッチスクリーン機能を活用してソフトウェアを画面内で動かしながらプレゼンテーションを行いました。その後、児童は保護者にレクチャーを行いながら、実際に360°図鑑に触る活動も行いました。

撮影:塩見浩介

STEP5 生雲小学校との学校間交流学習(2年生) 2023年3月3日実施

海に近い秋穂小学校と、山に囲まれた生雲小学校をオンラインで繋いで、お互いの制作した360°図鑑を発表し、交流を深めました。学校間の交流を通して、お互いの地域・文化を理解したり、自分たちの地域を再確認することができました。
撮影:塩見浩介

STEP6 ウェブサイトの公開 2023年3月

2022年度の秋穂小学校での一連の取り組みをまとめ、ウェブ図鑑を一般公開しました。

クレジット

企画・制作

秋穂小学校の児童・教員

やまぐち子ども未来型学習プロジェクトチーム(山口市教育委員会)

菅沼聖、蛭間友里恵(山口情報芸術センター[YCAM])

河口隆、冨川裕美子、大本路子、冨永早那(ファブラボ山口/アワセルブス)

山根由起子(プロジェクトサポーター)

ドキュメンテーション

渡邉朋也(山口情報芸術センター[YCAM])

ドローン空撮

白澤 哲浩(Haro工房)

記録撮影/全天球撮影

塩見浩介

図鑑ウェブ制作

KARAPPO Inc.

制作サポート

津間啓語

主催:山口市、山口市教育委員会、公益財団法人山口市文化振興財団

共同開発:YCAM InterLab

企画制作:山口情報芸術センター[YCAM]、山口市教育委員会、ファブラボ山口

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